カエルアンコウの仲間の
ハナオコゼ / Histrio histrio

毎年6月から7月にかけて1、2匹の幼魚に出会う、両手足のような鰭を器用に使って物に捕まったり、移動したりする。 その様子を見ているととても興味深く、可愛らしく、癒され、時の経つのを忘れさせてくれる。 そして大きな驚きを教えてくれた。

最初にハナオコゼを見つけたのは2011年の6月だ、海面に漂流する海草にまとわりついた小魚を採取しようと、たも網で海草ごと取り込んでいたら3から4ミリくらいの真っ黒い奇妙な生き物が蠢いていた、海なのにあたかもヒキガエルのおたまじゃくしがカエルになったばかりの姿にそっくりで一瞬頭の中に混乱が起きた。少し頭を冷やして見直したがなんだかわからない、なんとなくはもしかしたらカエルアンコウの稚魚かもしれない?と言った程度の考えに落ち着かせた。 しかし、あまりにも小さいので餌も与えられないし、わからないが持ち帰り他の小魚とともに水槽に入れた。

もちろんそれから一週間ほどは全くの行方不明、すぐに他の魚に飲み込まれてしまったものと諦めていたところ、二週間ほど経ったある日明らかにカエルアンコウの幼魚と思しき2、3センチほどの魚が元気に泳ぎ回っているのを発見した。(ハナオコゼはあまり動かないが、小さいうちは結構泳ぎ回るようだ) 驚きであった、僅か3、4ミリのカエルアンコウの稚魚がカワハギの幼魚やスズメダイなどの小魚に飲み込まれる事も無く生き抜き、僅か60センチ水槽の中の微生物?を餌に僅か二週間あまりで10倍以上の大きさに成長した、その後成長のスピードは変わらず11月頃には20センチを超える大きさまで成長した。

その後、毎年水槽に入れる小魚を採取していると大抵1匹から2匹のハナオコゼの幼魚が見つかるので水槽で飼育していたが、ヒーターで水温調整していても11から12月頃に死んでしまう。 さらに2014、15年と続けて9から10月にかけて産卵するのである、2015年は一匹が10月までの2ヶ月で4回も産卵した。卵はゼリー状のカーテンみたいで大量なので毎回難産の様子で、その瞬間は激しく回転するまさにアンコウダンス、体力の消耗は激しいものと思われる。(2015年11月初旬5回目の産卵の時に卵を産みきれず体力尽きて2日後星になった)

このような魚は結構何年も生きるものと勝手に思い込んでいたため、僅か数ヶ月で産卵と思われる行為が信じ難く、ネットで「ハナオコゼの産卵」で検索して見た、なんと1959年2月に九州大學農學部學藝雜誌に論文が掲載されていた。それによると7月から8月の間に8回産卵したことが記述されていた。 そして寿命は1年、寿命が1年の魚は多いが、なんと不思議な魚だろうか、そして水槽での飼育はほぼ寿命を全うできる環境に維持できていると言えるのではないかと思われる。 次なる目標はなんとか、つがいで飼育して繁殖にトライして見たいが、オスメスの見分けがわからない、、、

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