ブルーギルの幼魚・Fry of bluegill

 

睡蓮の池(山椒魚産卵のためのビオトープ)に入れる小魚を採取に、とある池に出かけた。
大きい池で大きな亀やフナかブラックバスと思われる大きな魚は容易に確認できるが、採取したい小魚はさっぱり確認できない。
2、3時間池の淵をガサガサして回るも何も取れない。 諦めかけて帰ろうとしたところ、たまたま浅場にわずかな水草の茂った場所を見つけたので、念のためガサガサしてみた。
2、3回しているとたも網に銀色の光沢の美しい小魚が1匹2匹と採れた、扁平な形をしていたのであまりよく見ずにタナゴと思い込んで持ち帰った。

不覚にもよく確認しないまま数匹を睡蓮の池に入れてしまった、観察用にと残り2、3匹を小さな水槽に入れた。 頭の中ではタナゴなら二枚貝も居るはずだから産卵用に二枚貝を採りにまた行かなければ、なんて考えていた。
後日水槽の魚をよく見てみると骨が透き通って見える、銀色の光沢と共にとっても美しく、さらに薄っすらと横縞も見える。 どうやらタナゴとは明らかに違うみたいだ、慌ててよく調べてみると、どうもブルーギルの幼魚らしい事が判った。

ブルーギルと言ったらブラックバスほど大きな魚まで食べてしまわないが、同様に在来の小魚や魚の卵を食べてしまう特定外来生物だ! 水槽のブルーギルの幼魚を観察していると、水草の影に潜んでいてほとんど泳ぎ回らない。
多分、肉食魚特有の習性なのか水草の影に潜んでいて近づいた魚を労せず戴こうという魂胆ではないか? そこで問題は睡蓮の池に放してしまった数匹の幼魚だ、なんとか回収しないとせっかく集めてきた他の魚が絶えてしまうかも!
とにかく目視では全く確認できない、小さなビンドーを仕掛けてもブルーギル以外の魚しか入らない、残る手は池の水を抜くしかないようだ。
ちなみに池にはカダヤシとヨシノボリとモエビとクチボソと金魚屋から買ってきた金魚が数匹、これでも食い、食われる関係にあるがブルーギルは別格でカダヤシやクチボソは皆食べられてしまうかもしれない。

ところでこの魚、実はまだ食糧事情が厳しい頃、1960年当時の皇太子がアメリカ土産として15匹持ち帰り、食用の養殖研究用にと水産研究所に寄贈されたとのこと。
残念なことに寄贈の思いは実らず、実際には食用としては流通しなかったが、なぜか全国の池や川に拡散した、ブラックバスはスポーツフィッシングをする人たちの一部の人たちが密かに全国に拡散したらしいが、ブルーギルも同様なのかも知れない。 そして、数年前の調査では全国各地から集めた標本の全てが,その15匹の子孫である事が証明されたらしい。

ブルーギルを知っている人は多いと思うけど、幼魚がこんなに美しい魚だと知っている人は少ないのでは、今回の失敗は痛いが、幼魚の美しさを知ったのは大収穫だった。

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